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感想:教皇選挙

行ったら平日昼にも関わらずめちゃくちゃ混んでいて驚愕しました。みんな何を見て映画を選んでいるんだろう。
以下、ずっとネタバレです。


途中までローレンスが選出されそうだったところから空気が変わっていく流れ、こういっちゃなんだけど読み違えが絶対に発生しないようになっていてややウケてしまった。
ローレンスは最初から一貫して「自分にはその能力がない」という立場を表明していたことに加え、客観的にも選挙運営でいっぱいいっぱいになっているところをずっと見ているので、選ばれなくて良かったね…と思う。ローレンスが衝動的になるところの多さ、面白い。結構キレかけていた。
しかし「いっぱいいっぱいになっていた」ことは不選出の決定打ではないだろう。決定打になったのはやはり自分の教皇名を聞かれて前置きなしに答えていたところであって、あの瞬間ローレンス自身に「確信」があったということだと思う。その直後、まさに神の御技!というタイミングで爆発が起こり、流れが変わる。

ただ、あの爆発こそ神のもたらしたものだったのだ!と断定するような作りにはなっていないと思う。ここがこの映画の面白いところだと思うのだが、作中起こる出来事は全て人物に結びつけられ、因果のはっきりしない部分は残されていない。爆発はテロリストが引き起こしたもので、そしてローレンスはその知らせを無視していた(かなり仕方ない部分はあるけれど)。結局、ローレンスは自分の選択のしっぺ返しを受けたということだと思う。因果応報的なこと、それ自体が神の存在っぽいと読めるかもしれないが…どちらとも取れるという風に感じた。

劇場シート(あれ結局なんの施設なんですかね)でのベニテスの語り、あれはこの選挙・ヴァチカン全体に向けられたものと同時に、「ローレンスが爆発テロを無視して選挙を進行していた」ことへの失望ではなかっただろうか。ローレンスが比較的革新派で、外に、悩める人たちに開いている考えを示していたからこそ、内に閉じこもるような選択をしたことを咎めていたのではないか。
(これは私に聖職者の活動が具体的にどうかという知識がないため完全に妄想かもしれない。もっと妄想のゾーン→ベニテスは爆破テロ、しかも死傷者が多数出た状況を知ったなら選挙なんてほっぽってまず外に出て、惨劇に相対したかったんじゃないだろうか。現場という立場でなくても、教会としての立場を声明として出す、そして更なるテロ活動が引き起こされないよう対策することが先決で、選挙運営を優先すべきという考えはまずないと思う。)

最後に、前教皇の存在が常に感じられる中でベニテスの「状況」だけは前教皇の思い通りにならなかったことが痛快だったし、正しいと思う。全部前教皇の思い通りになったとすればそれこそ神じゃんね。


余談:シスターアグネスの部屋の小鳥、よくわからなかったけど気になる